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ビッコミさんの作品: 『ハスリンボーイ』ドラマ記念スペシャルトーク ヤバイ男、集結!!

11月1日より放送・配信開始されるドラマ『ハスリンボーイ』。
池袋の裏社会をサバイブする主人公・タモツを演じた間宮祥太朗氏、原作を手がけた草下シンヤ氏&本田優貴氏の鼎談が実現!
ドラマ撮影の舞台裏から連載時の秘話まで誌上で語り尽くす!!

主演 間宮祥太朗 Mamiya Shotaro
1993年生まれ。2008年俳優デビュー。映画『全員死刑』『東京リベンジャーズ』シリーズ、『変な家』、ドラマ『ナンバMG5』『ACMA:GAME アクマゲーム』を始め、数多くの話題作に出演。舞台やバラエティ、CMなどでも活躍している。

タモツの“がむしゃらな可愛さ”が出るように演じることを意識しました。

漫画 本田優貴 Honda Yuuki
漫画家。代表作に『東京闇虫』『ただ離婚してないだけ』。現在「ヤングアニマル」にて『ファミリープラン』連載中。

普通の大学生をイメージして描くのが初めてで連載当時は苦戦しました。

 

原作 草下シンヤ Kusaka Shinya
作家、漫画原作者。著書に『裏のハローワーク』『半グレ』のほか、漫画原作も手がける。YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー」のプロデューサーとしても活躍中。

連載から時間が経って現実が作品に追いついてきた感じがします。

――まずは原作の感想をお願いします。

間宮: 作品に引き込まれるスピードがとにかく早かったです。草下先生が裏社会を長年、取材されてきた方だと知っていたので、実際に見聞きしたものをベースにしたエンターテインメント作品なのだと思って読み始めました。いざ読み進めていくと、ベースにはリアリティーが流れながらも、エンタメとしてポップでテンポよく進む感じが、とても気持ちよかったです。

草下: 裏社会モノなので当然リアルな取材がベースにならないといけませんが、やはり漫画なのでリアルばかり追求してしまうと面白くなくなってしまいます。そこを本田さんがリアルな情報を素材としてうまく使いながら、ケレン味たっぷりに漫画として、とても面白く仕上げてくれたと思ってます。

本田: 連載当時は草下さんが書いた原作を毎回、「へぇ~」と興味深く読んでいました(笑)。僕自身も裏社会のことを一から勉強しながら描いていましたね。

――タモツを演じていかがでしたか?

 

間宮: 何の変哲もない平凡な主人公がひょんなことから事件に巻き込まれて成長していく、タモツみたいなタイプの役って、実はこれまで演じたことがなかったんです。例えば、映画『東京リベンジャーズ』で(北村)匠海が演じたタケミチもまさにそのタイプだと思うんですけど、僕はどちらかと言えば“主人公に影響を与える側”の役が多くて。だから、タモツみたいな役柄はすごく新鮮でした。

本田: 間宮さんが演じるタモツは、目力がスゴかったです(笑)。

草下: 俳優さんってマジでスゴいですよね!タモツ役が間宮さんに決まったと聞いた時、やっぱり間宮さんがめちゃくちゃカッコいいから、タモツは色男キャラじゃないけど大丈夫かな?と思ってて(笑)。でも、完成したドラマを見たら、見事にそこにタモツがいたので本当に驚きました。

 

――タモツを演じる上で意識した点はありますか?

間宮: 原作を読んでタモツは懐に入るのがうまいというか、裏社会で生きる人たちから可愛がられているなぁと感じました。だから、そのタモツの“がむしゃらな可愛さ”が出るように、自分が演じる上でも、とにかく周りから可愛がられるような存在になることを意識しました。

草下: 実はタモツにはモデルがいて、その人は実際に道具屋をやっていたのですが、道具屋って出しゃばり過ぎちゃいけないんですよね。いろんな人と話をしたり、人と人を繋ぐ仕事ではあるけれど、一番の役割は依頼者の要求に応えること。ガツガツ話しかけたりすると相手が距離を取ってしまうこともあるから、“話しかけやすい人”であることが重要なんです。モデルになった方も見た目は悪い感じなんですけど、すごく愛嬌があります。漫画でも、そういった部分はしっかり描けてるんじゃないかなと思います。

本田: タモツのビジュアルは、モデルになった方に会って決めたいと思っていたのですが、結局会えずじまいで。結果、自分の中の普通の大学生をイメージして描いていったのですが、そういうふうにキャラクターを描くのは初めてだったので、連載当時は苦戦しました。普通の大学生っぽさとは何かを考えながら描くというのは最後まで難しかったですね。

草下: でも、その普通であるタモツが犯罪しているというのが、とても今っぽいですよね。

間宮: どういうことですか?

草下: 連載当時は「奨学金返済のために犯罪に手を染める大学生なんているわけない」という声が結構あったんです。そこから時間が経ってSNSや通話アプリが発達して、身元を隠して犯罪する普通の大学生や中高生というのが当たり前になりました。表面上は普通に擬態しているけど、裏で分からないように悪事をするのが、今のリアルなんです。連載当時よりこの流れは一層進んでいて、タモツ型の犯罪者ってすごく増えています。奨学金の問題もクローズアップされるようになりましたし、連載から時間が経って、現実が作品に追いついたという感じがします。

 

 

――続いてはドラマ『ハスリンボーイ』の見所をお聞きしたいと思います。原作のお二人はドラマを観て、どんな感想でしたか?

本田: めっちゃ面白かったです!個人的にはウツロ(※1)が好きで、原作でも彼が序盤から時折登場して、伏線っぽいキャラクターになっている所が気に入っていました。ただ、もう少し彼を活かせたらという思いがずっとあったので、ドラマでより存在感を増しているウツロが観れて嬉しかったです。

草下: テンポがよくて原作よりスッと物語に入っていけるんじゃないかなと思いました。あと、目良(※2)がよかったです。想像以上に“目良してる”なって(笑)。

 

※1 ウツロ……タモツと敵対する人物。池袋に混沌をもたらそうと画策する。
※2 目良……ウツロのパートナー。圧倒的な暴力で周囲を掌握する。

 

間宮: 『ハスリンボーイ』はエピソード一つ一つの印象が強くて、すごく濃い作品です。キャラクターの個性も強いので、撮影中はもっと重くゆっくりしたリズムで進む作品になるのかなと思っていたのですが、完成版を観ると想像以上にスピーディーで驚きました。

――“キャラクターの個性”と仰っていましたが、特に印象的なキャラクターを挙げるとしたら誰ですか?

間宮: 僕は百瀬(※3)がすごく好きなんです。常軌を逸しているキャラクターだから、実際に会ったら笑えないんですが(笑)。必死すぎるあまり面白さが出てしまってる部分がたまらない。悪人なのは間違いないんですけど、憎めない不思議な魅力があります。

本田: 人情味のあるキャラクターですよね。連載当時、最終的にはすごくいい人になったなぁという印象があります。

草下: 百瀬はだんだんクリーンになっていく感じがありました。クスリが抜けたんですかね?(笑)

本田: 百瀬は刺青が入っているので作画が大変で…。彼が登場するたびにものすごく時間がかかるんです。週刊連載だったので本当に大変でした(笑)。

 

※3 百瀬……原作第一話でタモツがトバシを用意した相手。イラストは激昂している百瀬。

 

――百瀬と言えば、タモツと夜通し電話で言い争うシーンがありますね。

間宮: このシーンは、最初のほうに撮影したのですが、僕が原作を読んだ時に感じた“この作品の世界観”を提示できればと思いながら演じました。全力で追い込まれても脳ミソをフル回転させて、とにかく切り抜ける。すごく必死なんだけど、それを引いて見ているお客さんからすると、ちょっと面白おかしく見える。このドラマのエンタメとしてのポップさが伝わればいいなと。視聴者の方が、観始めてすぐに到達するシーンなので、ここで掴めたらどんどん観てくれるんじゃないかなと思っていました。

草下: 実はこのやりとりも実話で自分が経験したことなんです(笑)。ただ、そのまま漫画にするのでは面白みに欠けてしまうので、タモツが追い込まれていく様子をリアルに寄せて、あとは本田さんがうまく漫画にしてくれましたね。

本田: 電話でのやりとりだけのシーンなので、絵的にはすごく地味になってしまうんですよね。でも、なるべく派手に見せたいなと思って、百瀬にドスを使わせたりして色々工夫した記憶があります。

 

トークでも語られたタモツが百瀬を電話で打ち負かすシーン。漫画、ドラマの第1話で印象的な場面になっている。

――タモツは作中で「自分に限界を決めるのはやめよう」ということを言ってますが、皆さん仕事をしていく上で座右の銘って何かありますか?

間宮: 名言的なことで言うと、『アイデン&ティティ』という映画が好きなんですが、その中に「やるべきことをやるだけさ だからうまくいくんだよ」という言葉があるんです。座右の銘にというわけではないですけど、すごく好きな言葉ですね。

――お二人は?

本田: キャラクターを作る上で「カッコつけた言葉を使わないようにする」っていうのは気をつけてますね。自分がやっぱり青年誌の漫画が好きなんで、出たまんまの台詞っていうか、カッコ悪い言葉でも出していく作り方に自然となっていて。そのまま加工しない言葉で、リアリティーを出したいって思ってますね。

草下: 自分は、老子っていう中国の古い思想家の「有は無より生ず」という言葉があって、「あるものより、ないもののほうが偉い」みたいな。逆転の考え方なんですけど、たとえば器があるとして、器の価値って中身に何も入ってないほうが、何かを入れることができる。だから物でいっぱいの器より、何もない器のほうが、器としては価値があるんですよね。

――なるほど。面白いです!

草下: そういった可能性を見るのを自分は好きなので。タモツみたいに不安定な人間、虚無感や欠落を抱えている人間がどうやってそれを埋めていくかっていう「ない人の物語」を書いていきたいなって思っていますね

 

 

――最後に本作を楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いします。

本田 : 原作のテイストとドラマのテンポ感がマッチしていて、すごくカッコいいので、ぜひ一気観してほしいです。

草下: 何も持っていないタモツが、池袋の街で一人前の男に成長する物語なので、ただ犯罪を扱ったものではなく、人間ドラマとして観ていただけたらと思います。

間宮: このドラマは日常では見ることのできない世界が、のぞき見できる作品です。たとえば「トバシ」とか、劇中で飛び交う隠語や色々な小道具にも注目してもらえたら嬉しいですね。自分にとっても思い入れの強い方が集まった大事な作品になったので、ぜひ放送をご覧ください!

 

 

 

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『ハスリンボーイ』とは2018~2019年、「週刊スピリッツ」連載。
2018~2019年、「週刊スピリッツ」連載。
奨学金返済のために非合法ツールを扱う道具屋になったタモツが池袋の街を生き抜いていく裏社会サバイバル成長譚。

 

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リアルな裏社会から目が離せない!
連続ドラマW-30『ハスリンボーイ』
11月1日㊎午後11時~【WOWOWプライム】【WOWOW4K】
放送・配信スタート! 全8話
第1話無料放送あり‼︎
番組公式サイトはこちら

Ⓒ草下シンヤ・本田優貴/小学館 ⓒ2024 WOWOW INC.

●取材・記事構成/ちゃんめい●撮影/平山訓生●デザイン/チトラーチ

 

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