

「ビッグコミックスペリオール」の新人賞が今回、「ビッグコミックスペリオール新人作家大賞」と名前を新たに、完全リニューアル‼︎
第1回の審査員を務める押見修造氏のインタビューを公開いたします‼︎
同氏のスペリオール新連載『瞬きの音』と合わせて、ご覧ください‼︎
(インタビューは2024年夏に行ったものです)

押見修造
1981年生まれ、群馬県出身。漫画家。2002年「真夜中のパラノイアスター」でデビュー。
代表作に『アバンギャルド夢子』『漂流ネットカフェ』『惡の華』『おかえりアリス』『血の轍』など。
2024年12月13日発売の「ビッグコミックスペリオール」1号から、新連載『瞬きの音』が開幕。
僕はなぜこの時代に漫画雑誌で描くのか?
ー押見さんは少年漫画誌でも青年漫画誌でも連載をされていますが、お描きになる上で意識的な区別というのはあるのでしょうか?
そうですね。「惡の華」のようないわゆる少年誌で描いている漫画も、特別少年誌向けに描いているつもりではなくて、どの媒体でも、どちらかというと自分は青年漫画というカテゴリに入るものをずっと描いてきたと思っています。子供の頃は少年漫画も読んでましたけど、その後移行して、ずっと青年漫画読者だったんですよね。だから自然と描くものはそうなったというか。
ーではそういったスタイルの作家・押見修造が、「血の轍」(2017~23)でスペリオールという漫画雑誌を発表の場として選ばれたのは、どのような理由でしょうか。
一般的には少年誌と青年誌には違いがあると思うんですけど、それよりも
「何か面白いことが起こっていそうな雑誌で描く」ということが1番刺激になるというか。

※『血の轍』より。
自分の場合は同時期に浅野いにおさんの連載(「零落」)が一緒に始まるというお話だったので、それは大きかったです。もちろん担当さんとの縁はありますが、浅野さんと一緒に載ってみたい、と。一緒に連載しながら刺激が得られそうだなという予感がしていたんですよね。一時期、浅野さんとはテーマの近い連載をしていたこともあって、当時は「嫌いだ」と言っていたんですけど(笑)、実際同時に載っている時は、やっぱり雑誌が家に届いたら一回覚悟して読むというか......最初に読むかどうか、みたいな緊張がありました。あとその時、スペリオールは連載陣が変わるタイミングだったと思うんですけど、僕の好きな感じの青年漫画がたくさん始まる気配がしていたので、そこに載ってみたいなという思いがありました。
一押見さんがお好きな青年漫画とは?
エロやグロというコード的な自由さ、過激な表現が好きというよりも、ある深さを持ったものというか。テーマ的な深さがあるもの、表現の新しさがある漫画というのがありますね。必ずしも暗くて重いものがいいということではないんですけど......現実の、人間の描き方のリアリティ、深さ。
ページターナー(譜めくり)的な面白さではなくて、何か作者に渦巻いているものがあるんだという面白さ。自分的には、いわゆる少年誌的な漫画や人気ジャンルの異世界転生漫画などは、もちろん全部がそうではないと思いますが、多くは自己肯定を目指す漫画だと思うんですよ。自分の中の青年漫画は自己否定を追求するもの。その否定が深ければ深いほど自分は面白いというタイプです。だから(作品テーマやキャラクターへの)「こんな形の自己否定があるんだ」っていう発見が、面白さなのかもしれません。
一なるほど自己否定...!
自分の作品でも自己否定の物語を描いてある程度までいくと、気持ちよくなるんですよ。僕としては自己肯定よりも気持ちいいので、その味が忘れられないというか......いや、別にスペリオールがそういう漫画ばかり載っているというわけではないですけど(笑)
スペリオールは「ダルパナ」という電子のレーベルは持っていますが、紙の雑誌です。現在はWEBやアプリでの連載作品も数多くありますが、押見さんが連載発表のメイン舞台を紙の雑誌で続ける理由はなんでしょうか?
僕が雑誌で漫画を読んで育った世代だからかもしれないですけど、描き手として、紙だと1冊の本になっていて、様々な漫画がパッケージされているわけじゃないですか。
一緒に載っている漫画のことが意識されるというか、さっき言った浅野さんに対するライバル心も含め、仲間意識のような刺激が自分にはあるんでしょうね。
雑誌をパラパラと捲った時に”目に飛び込んでくるページ”みたいなのがやっぱりあって、そういう強いページを持った作品があると、「おっ」と読みますし、それが自分の作品じゃなかった時は悔しい。どうしたらそっち側に入れるのか、というやり方で自分は今まで雑誌連載を続けてきた気がします。
大賞には賞金100万円+新連載権
一今回、リニューアルした新人賞では、大賞受賞者が出た場合に連載権も与えられます。押見さんは、スペリオールでどのような新人作家の作品が読みたいですか?
好みになっちゃうかもしれないですけど……僕は濃い漫画が好きなので、濃い人に載ってほしいなという気持ちはありますね。深いという意味で「濃い」漫画というか。先鋭的なとんがったものを志向する漫画もいいんですが、それよりも何かズーンとくるというか、古典的だったり先祖に回帰するような表現だとしても、”これは凄い深みに到達している”というものを描く新しい描き手の人がいてもいいんじゃないかなと最近思ったりします。描き手の年齢などは関係なく。もちろん、それを若い人が描いてきたら...嫉妬します!(笑)
スペリオールは濃い作家さんが多いですよね。読んでますよ。「フールナイト」が始まった時も凄い絵の上手さ、表現に嫉妬しました。読切も読んでます。この間載っていた『 君がいないと毎日は生きれない 』(※)面白かったですね。自分もまたスペリオールで連載をするのであれば、何か一歩前に進んだものを描きたいな、と思っています。

一新人賞に投稿していただき、デビューされた漫画家さんには長く活躍していただきたいと我々も考えていますが、押見さんは漫画を描くのは楽しいですか?
楽しいですね。その楽しみしか知らないというか。苦しんで描く楽しみ、しかわからない。結局何をやってもそれになってしまう。でもそれは、たくさん描いていく中で掴んでいった感覚です。今の新人さんのほうがネットなどを通じて自己実現のための様々な方法を初めから知っているとは思うんですが、自分の経験上は、やってみないとわからない。デビュー当時は何も知らないだけに根拠のない自信だけはあったので、何か賞を取れる気がしてました(笑)。まずはその根拠のない自信の勢いに、頭よりも体の衝動に乗って、応募することが大切だと思います。

※『血の轍』より。
押見修造氏、渾身の最新作『瞬(まばた)きの音』は、発売中のスペリオール1号にて、表紙&巻頭カラーで掲載!!また、ビッコミでも こちら から読めます!!!
第1回 ビッグコミックスペリオール新人作家大賞
大賞
賞金100万円+掲載権+新連載(単行本1巻分保証)&単行本化権
審査員賞
賞金50万円+掲載権
佳作
賞金20万円
奨励賞
賞金5万円
努力賞
賞金1万円
※ 大賞、審査員賞の掲載先は本誌およびデジタル版となります。また佳作以上はビッコミ、ビッグコミックBROS.等のWeb媒体で公開予定です。
審査員
押見修造氏 『血の轍』
僕は濃い漫画が好きなので、濃い漫画を読みたいです。深いという意味で「濃い」漫画というか。先鋭的なとんがったものを嗜好する漫画もいいのですが、それよりも何かズーンとくるというか、古典的だったり先祖に回帰するような表現だとしても、“これは凄い深みに到達している”というものを描く新しい描き手の人がいてもいいんじゃないかなと最近思ったりします。僕は、デビュー当時は何も知らないだけに、根拠のない自信だけはあったので、何か賞を取れる気がしていました。まずはその根拠のない自信の勢いに、頭よりも体の衝動に乗って、応募することが大切だと思います。

※『瞬きの音』より。
ビッグコミックスペリオール編集長の一言
新人賞をリニューアルして大賞には連載権をつけました。より連載デビューに近い賞として多くの皆様にご応募いただきたいと考えたからです。もうひとつ、皆さんの投稿作の次回作に連載として賭ける、つまりスペリオールの新・連載陣としてこの才能、この作家に賭けてみる!ということです。スペリオールは「価値観ゆさぶるオモシロさ!」をキャッチフレーズにしていますが、それは流行やトレンドに左右されることなく、むしろ逆らってなお自分はこう思う、この感情を大切にしたい、といったところから出てくると思っています。劇的な1日であっても、取るに足らない1日であっても、作品のヒントはあなたの日常の喜怒哀楽の中にある。あなたの作品を読みたい、語りたい。スペリオールにはそんな編集者が沢山います。ぜひあなたの才能に賭けさせてください!( 編集長・寺澤 )
結果発表
2025年5月発売のビッグコミックスペリオール誌面上(予定)
応募要項
原稿の大きさ:B4サイズ。同人誌での応募も可能。
ページ数:何ページでもOK(目安は36ページ程度)。必ずノンブル(ページ番号)を記入してください。
応募資格:プロアマ問わず。
審査方法:編集部による一次審査の後、審査員による最終選考を行います。
発表:2025年5月発売のスペリオール誌面上(予定)
注意事項:
①応募は未発表作品に限ります。同人誌掲載は可。掲載の際、内容あるいは表現等でご相談させて頂く場合があります。
②同時期に同じ作品を他の新人賞に重複して応募することはご遠慮ください。
③これまでに受賞歴・掲載歴のある方は、経歴とペンネームを明記してください。
④投稿作品の雑誌掲載権・単行本化権は小学館に帰属します。
⑤佳作以上は本誌や「ビッコミ」「ビッグコミックBROS.」等で公開予定です。
問い合わせ先/03‐3230‐5509(スペリオール編集部)
応募方法
郵送のほかWeb応募も可(専用フォームは下の「WEB応募」より)
アナログ原稿の場合は原稿用紙1ページ目の裏に、作品名・氏名・ペンネームのある方はペンネーム・年齢・学年もしくは職業・電話番号・メールアドレス・郵便番号・住所を書いてください。
郵送での応募
あて先:〒101-8001 東京都千代田区一ツ橋2−3−1
小学館 ビッグコミックスペリオール編集部
第1回スペリオール新人作家大賞 事務局
Webでの応募
WEB応募フォーム
注意事項
アナログ原稿は返却いたします。
デジタル原稿を郵送する場合は、廃棄可能なメディアに入れたデータとプリントしたものをお送りください。データ、プリントは返却しません 。
応募締切
2025年2月28日(金)※当日消印有効
※Web応募は23:59締切

©押見修造/小学館

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