\10月3日(木)23時30分~TOKYO MX、BS11にて放送開始!!/
TVアニメ『結婚するって、本当ですか』スタート直前企画
アニメがもうすぐ、始まりますか
~第1弾~
監督・博史池畠×原作者・若木民喜
TVアニメ『結婚するって、本当ですか』のメガホンを取った博史池畠監督と、
現在『ヨシダ檸檬ドロップス』を絶賛連載中の原作者・若木民喜氏がアフレコぶりの再会!
アニメ・漫画それぞれの制作秘話や、
作品にちなんだ人生のアレコレをみっちり語り合います!
※この先一部に原作のネタバレを含みます※
博史池畠(ひろし いけはた)
1979年10月25日生まれ。東京都出身。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。2013年『ロボットガールズZ』でテレビシリーズ初監督を務める。その他代表作に『キラッとプリ☆チャン』『トニカクカワイイ』など。
好きなキャラクターは、圧倒的にリアルな権ちゃん。
自分自身をたとえるなら、「国土地理院に就職したリカ」でしょうか。
若木民喜(わかき たみき)
1972年5月9日生まれ。大阪府出身。2005年『聖結晶アルバトロス』(週刊少年サンデー)で連載デビュー。代表作に『神のみぞ知るセカイ』(週刊少年サンデー)、『結婚するって、本当ですか 365 Days To The Wedding』(週刊ビッグコミックスピリッツ)など。
アフレコを見ながら、「面白い話だな~」と。
自分の描いた話の意味が、一周して伝わってくるような感じがありました。
アニメ化するって、本当ですか?
――アニメ化が決まった当時のことを教えてください。
若木: ずいぶん前からアニメ化のお話自体はあったんですが、コロナ禍で一旦行方不明になったんです。どうなるかなと思っていたら電話がかかってきて、「決まりました!」って。最初から100話くらいでまとめようと思っていた連載だったので、完結が見えてきたタイミングでのアニメ化決定でした。
博史: 僕は前にも結婚にまつわるアニメを1件やっていたので、それで僕に仕事が来たのかなと思いました。「独身の僕がそんな、何本も結婚のアニメをやっていいのか……?」みたいな気持ちもありつつ、原作が非常に面白かったので。これは僕がやりたい、やったら面白くなるぞと。
――原作にはどのようなご感想をお持ちになりましたか。
博史: 偽装結婚の話って立て付けとしてはよくあるんですけど、二人して計画をあんまり練らないままやってるっていうのが面白かったですね。他の作品だったらもうちょっとうまくやって、うまくやってたんだけど失敗して……みたいになると思うんですが、全然最初からうまくいかないまま始まってるのがすごく新しくて面白いなと。
若木: (笑)。計画自体がそもそも荷が重かったって話ですよね。
結婚って、一体なんですか?
博史: あとは結婚の意味自体が揺らぎ始めている現代において、なんのために結婚するのか、ということを考えさせられましたね。孤独にならないため…… 孤独にならないようにして自分を保つための一つの方法として結婚があるんじゃないかというのが、僕が最近思っていることです。
――作中にも登場したこの問いについて、若木さんのお考えはいかがですか。
若木: 僕は自分の実感をそのまま漫画にしているだけで、「結婚ってこうだ!」という答えはなかなか出ないです。「結婚してよかったな~」と思った次の日に「やっぱり結婚するんじゃなかった」とか、そういうことを繰り返すじゃないですか。でもそのすべてが結婚しないと体験できなかった、という意味においては、二人いるからこそ起こることだらけで面白いですよね。
制作の裏話、教えてくれますか?
――アニメ制作にあたって、どのような方針や試行錯誤がおありになったのでしょうか。
博史: タクヤって実は結構お坊ちゃんだと思うんです。ただ単に気弱でドギマギしているその辺のサラリーマンというわけではなく、バックグラウンドがしっかりあって複雑なキャラクター性。そこをうまく再現できるような芝居が欲しいなと思っていました。更に言えば、家庭的には恵まれているけれど実家と距離を置いているタクヤと、家庭というものを信じられていないリカの対比が出たらいいなと。実際にそうできたかどうかは、フィルムを観てください(笑)。コンテは非常にやりやすかったです。コマの流れをそのまま映像にしやすい、映画的なネームを切られる方だから。
若木: ネームに関しては、そういう方向性が確かにありました。少年誌だと絵の上から台詞をガーッと乗せていって、絵に描いてあることもどんどん説明して追い打ちをかけていたところを、青年誌ではわざわざ言わずにほったらかすという。たとえば権田がカオリーの子どもを見たときの顔とか、何も説明がないですよね。でも分かるじゃないですか。つくづく今までやらなかったことをいっぱいやってますね、この漫画では。
――アニメ化にあたって、若木さんから何かリクエストはされましたか。
若木: 早見さん(本城寺莉香役:早見沙織)ですね。リカのリアクションをいかに面白く表現できる方が来てくれるかが肝心だと思っていたので、早見さんに決まったときは「もう思い残すことはねぇ」って感じでした(笑)。そこからはもう全部加点要素ですよ。熊谷さん(大原拓也役:熊谷健太郎)も素に近い自然な声で演技をされるから、生っぽくて、すごくよかったです。
博史: 主役のお二人には特に、いわゆるアニメ的な声やお芝居を少し抑えてもらっています。トレンディードラマっぽい立て付けの作品なので、実写ドラマみたいな演技を最初に試してみて。そうすると若干絵に負けている感じがあったので、もうほんの気持ちだけアニメっぽくやってもらったら、うまくハマりました。
若木: 初回のアフレコには僕もお邪魔してましたが、面白かったです。第1話Aパートのリハーサルで本当に世間話みたいなテンションだったのが、「もう少し粒立てましょう」となった途端、皆一斉にほんの少しだけつまみを回してくれた。こんな一気にチューニングが合うものかと、びっくりしました。
――アニメの監修を通じて、作品の魅力を再発見されたとか。
若木: 「面白い話描いてたんだなぁ」って思いましたね。さっきも話したとおり色々新しい挑戦をした作品だったので、「これ合ってんのかな」という気持ちで描いているところも正直あったんですよ。そこに説得力を与えてくれるんだから、声優さんってすごい。特に最終回は素晴らしかったです。アフレコのとき、僕の隣でスピリッツの編集長(原作立ち上げ担当)が泣いてましたから。それで僕、余談ですけど、収録が終わった後に中のブースを覗いてみたらね、声優さんたちがあっさり談笑しているんです(笑)。どういう脳の構造になってるんだろう。あんなに入り込んで演技した後に、パッとこう、お菓子を取りに行けるものだろうか。
キャラクターのこと、教えてくれますか?
――お二人の好きなキャラクターを教えてください。
博史: 権ちゃんです。権田って妙に等身大で。こういう人生を送っている人、たくさんいるよなっていうのが一番見えたキャラクターでした。アニメキャラとしては、20代のモテない男子という存在をここまでリアルに描くことはなかなかないんですよ。だから結構共感しながら作った記憶があります。
若木: 権田は僕の友達の話そのまんまなので、お礼を言わなきゃいけません。実際、権田はいいですよね。10集で完結予定だったのが11集になったのも、権田のフォローをするために増えたようなものです。それに僕、ああいうフォルムのキャラが好きなんですよ。権田とか五十島さんとか。そしたら権田役のキャストさん(権田広見役:落合福嗣)も同じシルエットで(笑)。
博史: 実は漫画を見た瞬間に、これはもう落合さんがいいなって思ったんです。パッと落合さんの声が聞こえたというか。
――主役であるタクヤとリカは、どのようにしてできていったのでしょうか。
若木: 自分の結婚をモデルにして、男女を逆転させています。だから自分自身であるリカのほうの解像度が高かった。都会しか知らなくてね。墓参りも行ってなかったし、歳時記ともほとんど関わりのない、プラスチックな生活をしてました。それが田舎の義実家だと、皆でご飯を食べた後に何気なくお墓の掃除をしに行く。土地というものを感じるシーンが多くて、これはこれでいいなと思ったんです。
――監督は、タクヤとリカに共感された部分はありましたか。
博史: 僕はタクヤやリカのように趣味のある人間ではないんですよね。今はもう仕事だけしていれば生きていける、という感じになっちゃってて。仕事以外の楽しみがあるわけでもなし、とにかく日々アニメの監督作業をするのが人生、みたいになってしまっている。ちょっとよくないかもしれないと思います。仕事が楽しいから仕方ないんですが……
若木: いいじゃないですか!
“一人”と“自立”は、違いますか?
博史: いや、なんでしょうね。僕は芸大生のときから課題と自主制作で映像を作ってきて、感覚的にはその延長線上のままずっとやっているんです。だから全然まだ大人になれていないような気がしていて。結婚のことだってあんまり考えないまま、もう45まで来てしまったけどどうしよう、という。
若木: ああ、その感覚は分かります。周りの50代と今の自分とが違いすぎて。他の人たちは「やっと子育てから解放された」なんて言ってる中で、こっちはまだまだお菓子巡りとかしているわけじゃないですか。いやまあ、それ自体は別にいいんですけどね。成長してない自分と一緒に、せめて自立したいっていうのはありますよね。
――旅行代理店で働きながら一人生活を満喫しているタクヤとリカは、それぞれ自立しているようにも見えますが、いかがでしょう。
若木: いや、これはね、自立しているようでしていないと思います。自立している人というのは、やっぱりちゃんと人と話せる。人とどうやって調和していくか、その兼ね合いが自立じゃないでしょうか。一人で生活するのはいいけど、それと自立は別の問題だと僕は思います。
――自立って難しい……
若木: あと自立の要件としては、自分で選択していくということですよね。僕も自立した人生を送りたいものだと常々思っていますが、今のところ「なんとなく」の連続でここまできています。なんなら僕はずっと自立についての話を描いているから、飯の種になっちゃっているんですよね。飯の種にしている以上、いよいよ自立できない(笑)。新連載( 『 ヨシダ檸檬ドロップス 』 )もそういう話だし、これは根が深いですよ。
博史: だいぶん耳の痛い話です(笑)。僕の場合両親ももういないし、本当に一人になってしまってから、あれ、そういえば自立してないような気がするなって。人との調和という面ではもうずっと一人でいるから、一人でいることに抵抗感もないし、人と会うのがどんどん面倒臭くなってきている。40過ぎてからいよいよそれを実感する場面が増えてきたので、最近は何かお誘いがあったらとりあえず行って、人との交流を絶やさないようにしています。なんというか、自分はずっと何をやっていたんだろう、アニメしか作ってこなかったなという気づきですよね。もっぱら地図を見て生きてきた1話のリカに近いかもしれない。しかもそれが仕事になっているから、国土地理院に就職したリカみたいな。そうなるともうリカは一生結婚しないでしょう。
若木: そうは言うけど、やっぱりアニメの監督はすごいですよ。組織の中で動かないといけないから、関係性、社会性が大事じゃないですか。あと、あらゆることを決断しないといけないのが大変そうです。たくさんの作業者さんから上がってくるものを全部見て、色んなことを同時に判断して、一つの作品にまとめあげていくという。
博史: 僕からすると、漫画家さんは絵が描けるのがすごいです。意外かもしれませんが、アニメの監督とか演出さんって絵が描けない人も多いんですよ。自分の思い描いた世界をそのまま絵にプリントアウトできるっていう時点で、すごいし羨ましいです。
若木: それがねぇ……(笑)。ネームの時はもっといい感じだったのに、ということも実はあります。ネームを描いた自分と原稿をやってる自分がいつも喧嘩しているみたいなんですよね。「こんな無茶なネーム描いてんじゃねえ!」って。
読者に一言、いただけますか?
博史: 原作ファンの方に満足いただける、そしてアニメから入るという方にも楽しんでいただけるようなアニメにしていきますので、是非ご覧いただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
若木: これは、原作は超えていると思いますよ!
撮影/五十嵐美弥
デザイン/佐藤菜七星
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公式サイト https://365-wedding-anime.com/
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\アニメがもうすぐ、始まりますか~第2弾~/
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