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第2回審査員、稲垣理一郎氏インタビュー公開‼︎ 0 0 10 false
ビッコミさんの作品:スペリオール新人作家大賞
第2回審査員、稲垣理一郎氏インタビュー公開‼︎

「ビッグコミックスペリオール」の新人賞、「ビッグコミックスペリオール新人作家大賞」第2回が、10月31日(金)締切で開催中!

第2回の審査員を務める、『トリリオンゲーム』原作者・稲垣理一郎氏のインタビューをビッコミでも公開いたします‼︎
ぜひご応募ください!

 

稲垣理一郎
『トリリオンゲーム』原作)

1976年6月20日、東京都生まれ。漫画原作者。2001年、「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて読切デビュー。代表作に『アイシールド21』『Dr.STONE』。現在、スペリオール上で『トリリオンゲーム』連載中。

 

「そもそも僕は、漫画を芸能事務所みたいなもんだと思ってるんです。」

――稲垣先生は、デビューが「週刊ビッグコミックスピリッツ」でした。青年誌から少年誌へ切り替えたきっかけをお聞かせください。

「スピリッツ」で読み切りを描いてたんですけど、当時の編集長に「キャラクターがなさすぎる」と担当編集経由で言われまして。
その頃の僕は、漫画は芸術でなければならないみたいな、そっち方面のイキリをしている若者だったので、キャラクターとか何言ってんだ! ぐらいに思って。
そうは言っても、その通りにしなければ仕事にはならないので、キャラクターを学んでみようと。
当時の新人賞募集で「漫画はキャラだ!」って「ジャンプ」が一番言っていたので、じゃあ「ジャンプ」でノウハウを盗んでやればいいじゃん! と僕はひらめきまして。
それで新人賞に出したのが始まりですね。

――それが、『アイシールド21』に繋がったと!?

そうですね。君の漫画はここが弱くてここが強い、とデータを見せられて。それに合わせて作っていく過程で、キャラクターの作り方を学んでいきました。
具体的なことを言うと、一般的に「キャラを立てる」という言葉があります。ただそれだけだと一つ抜け落ちてるところがあって。「キャラを立てる」だけだと「キャラクターの特性を描き出す」のみにとどまっている。その次が実はあるんです。
読者にどういう奴かがわかったうえで、さらに面白がってもらえなきゃいけない。好きになってもらえなきゃいけない。応援してもらわなきゃいけないっていう次の段階があるんですよ。

――特異な人物を描くだけではないということですね。

 

▲『トリリオンゲーム』第6集より

そもそも僕は、漫画を芸能事務所みたいなもんだと思ってるんです。キャラクター(人間)を作れなければ経営ができない。次に、そのキャラクターをみんなに好きになってもらわねばならない。芸能事務所では当たり前ですよね。
そのステップが、当時の僕は完全にできてなかった。「キャラを立てる」とはそういうことだと思います。そこが「ジャンプ」に行って初めてわかったことです。

――「キャラに共感ができない」、という課題にも通ずるお話ですね。

そうですね。要は、読者に「このキャラクターを通じて何を感じてほしいのか」というところがまずあって、それに沿ったものでなければいけない。
「読者の視点キャラ」という言い方をしているんですが、少なくとも視点キャラには共感できないとおそらく話になりません。「視点キャラなしはありえない」というのが僕のロジックです。
どんなに面白いキャラを出しても、そのキャラクターの存在が読者にとってプラスになっていかないと、そいつが作中にいても楽しくない状況になってしまいます。
「読者に快感を与える」ということが大切なんですが、じゃあ「読者への快感」って何でしょう? それは、読者が応援したいキャラクターに対して良いことが起こるとか、こいつ素敵だなって思わせられること。応援したくなる(快感を得られる)キャラクターがいたら嬉しいので。そいつはもう読者にとって大事な友達なんですよ。

 

▲『トリリオンゲーム』第1集より

――キャラクターの好感度を上げる場合、例えば「不良が猫を助ける」など既に使い古された表現ではなくオリジナリティーを出すコツはありますか?

二つあるんですが、まず根本的に、使い古されていようがなんだろうが全然問題ないっていうことですね。
例えば、アニメ「アラジン」で、最初にアラジンがリンゴを盗んで逃げ去るんですけど、いざ食べようとしたところに、貧しい少年少女がお腹を空かせてるのを見つけて、アラジンは葛藤の末、りんごを結局あげてしまいます。ベタベタじゃないですか?
もう明らかに「好きになってね~」っていうシーンじゃないですか。露骨すぎじゃないですか? でも、あのシーンを見て「うわ、露骨すぎるよ」って思う人、誰もいないと思います。あ、こいつはいい奴なんだな、ということが伝わるので、別にまだ不良が猫を助けたって僕はいいと思います。
ただ、あまりに既視感があると流石にギャグになっちゃうので、そこは気をつけなきゃいけないですけど、本質的には全然問題なくて。だからこそ、「SAVE THE CATの法則」※があるんだと思います。パターンでいい。別にありがちでもいいっていうのが一つです。
もう一つは、それがキャラクターの魅力を見せるためだけのシーンになってるともったいないってことです。

――キャラクターを立てるだけではもったいない?

漫画って、少ないページ数の中でシナリオを追いながら、キャラも出していかなければならない。こいつを好きになるためだけのシーンですよっていうことだけに割けるページ数はないので、「シナリオを追いながら自然とSAVE THE CATしている」のが理想です。
キャラが出てないシーンって全ていらないんですよ。でも、シナリオの説明をしないわけにいかない。では、どうすればいいかっていうと、シナリオの説明をしているシーンなのに、同時にキャラが出てるっていうのが一番いいわけです。
起承転結の「起」のところでいかに一緒にキャラを出せるかっていうことを考えることが、プロとしての第一歩なんじゃないかと。
この一ページ段取りじゃない? このコマに面白さ、本当にあるかい? って自問自答する。「面白くないページを一コマたりとも許さん」っていう堀り込みを、僕は「ネームの圧」と呼んでいます。
一番の理想はやっぱり、快感を読者に対して与えることだと思っているので。

 

▲『トリリオンゲーム』第2集より

――では稲垣先生が新人作家の原稿を評価するときには、やはり「キャラクターを立てようとしているか」を評価されるんでしょうか?

基本的にはキャラで見ます。見るんですけど、それは一つの評価軸でしかないです。例えば、キャラは全然できてないけどここは素晴らしいみたいな人を、僕の評価軸でふるい落としてしまったら、これはめちゃくちゃもったいないので、複数の見方で見るようにはしますね。
ただ、キャラクターができていれば、ほかの出来がどんなに悪かったとしても、僕はこれが好きだって思ったら、推します。

――今回、スペリオールに向けて原稿を投稿する皆さんに一言お願いします。

どういう人がスペリオールの新人賞に応募するのかを考えた時、それは正直、メジャー誌じゃないところに行きたいって思っている「尖った人」なんじゃないかと思うんです。
でも、料理に例えると、「素材のままがいい!」という人は、商売上は厳しい。そこにちょっとでも砂糖や塩を加えて食べやすくしていい、という気概のある方は、たぶん編集と組めばいける気がします。
自分のやりたいことと、メジャーなものという、ベン図の重なっているところをちょっとでも見てくれる気概。それさえあれば、チャンスはあると思います。
ベタベタにやって僕は大丈夫だと思いますよ。もうバカだと思われようぜっていう。
そういう人に来てほしいですね。

 

©稲垣理一郎・池上遼一/小学館

『トリリオンゲーム』はスペリオールにて連載中!
ビッコミでも
こちら から読めます!

 

第2回 ビッグコミックスペリオール新人作家大賞

大賞
賞金100万円+掲載権+新連載(単行本1巻分保証)&単行本化権

審査員賞
賞金50万円+掲載権

佳作
賞金20万円

奨励賞
賞金5万円

努力賞
賞金1万円

※ 大賞、審査員賞の掲載先は本誌およびデジタル版となります。また佳作以上はビッコミ、ビッグコミックBROS.等のWeb媒体で公開予定です。

 

ビッグコミックスペリオール編集長の一言

リニューアル2回目の募集となります。この新人賞は大賞に新連載権を付け、より連載デビューに近く、より投稿頂いた皆さんの才能に賭けてみたい!という思いで刷新しました。画力や構成力、全体の完成度よりも、スペリオールのキャッチフレーズである「価値観ゆさぶるオモシロさ!」が一コマでもあるかどうかを私としては大切にしています。価値観というのは、自分が大切に思っていること、真実だと考えていること、逆に軽蔑すること、嘘だと思っていることなどが反転したり、揺さぶられることです。それは世間的には小さな出来事でも、あなたにとって真剣であればあるほど、読み手の価値観を揺さぶります。種はご自身の過去・現在の喜怒哀楽にあると思います。あなたの作品を読みたい、語りたい。スペリオールにはそんな編集者が沢山います。ぜひご応募ください! (編集長・寺澤)

 

結果発表
2026年1月発売のビッグコミックスペリオール誌面上(予定)

応募要項
原稿の大きさ:B4サイズ。同人誌での応募も可能。

ページ数:何ページでもOK(目安は36ページ程度)。必ずノンブル(ページ番号)を記入してください。

応募資格:プロアマ問わず。

審査方法:編集部による一次審査の後、審査員による最終選考を行います。

注意事項:

①応募は未発表作品に限ります。同人誌掲載は可。掲載の際、内容あるいは表現等でご相談させて頂く場合があります。
②同時期に同じ作品を他の新人賞に重複して応募することはご遠慮ください。
③これまでに受賞歴・掲載歴のある方は、経歴とペンネームを明記してください。
④投稿作品の雑誌掲載権・単行本化権は小学館に帰属します。
⑤佳作以上は本誌や「ビッコミ」「ビッグコミックBROS.」等で公開予定です。

問い合わせ先/03‐3230‐5509(スペリオール編集部)

応募方法

郵送のほかWeb応募も可(専用フォームは下の「WEB応募」より)
アナログ原稿の場合は原稿用紙1ページ目の裏に、作品名・氏名・ペンネームのある方はペンネーム・年齢・学年もしくは職業・電話番号・メールアドレス・郵便番号・住所を書いてください。

郵送での応募
あて先:〒101-8001 東京都千代田区一ツ橋2−3−1
小学館 ビッグコミックスペリオール編集部
第2回スペリオール新人作家大賞 事務局

Webでの応募
WEB応募フォーム

注意事項
アナログ原稿は返却いたします。
デジタル原稿を郵送する場合は、廃棄可能なメディアに入れたデータとプリントしたものをお送りください。データ、プリントは返却しません 。

 

応募締切
2025年10月31日(金)※当日消印有効

※Web応募は23:59締切

©稲垣理一郎・池上遼一/小学館

面白かったら応援!

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