荒野の君へ
達磨かえる元帥
敗戦直後の8月、私は“君”に出会ったーー焦土に導かれた、少女と孤児の物語!!
太平洋戦争敗戦直後の大阪。焼け野原と化した市中をさまよう少女エミは、焼け出され、母親を亡くし、すべてを失ったと絶望の淵に立たされていた。そんな時、瓦礫のどこからともなく赤ん坊の泣き声がこだまする。その声の先にいたのは、ひとりの孤児だった。まさしく自分と同じく、家族を亡くし独りぼっちになったかに見えるその子を抱き上げたエミは、この子を希望にしようと、この子の生きる道を見つけることを今の自分の生きる糧にしようと、心に誓うのだった…
混乱の中、生き別れた母と弟を探す少年との出会いを始め、復興の兆しも見えぬ大阪で逞しく生きぬこうとする人々との交流、そして“キミ”と名付けた赤ん坊の家族捜し、さらにはエミ自身の復興を描いた著者渾身のヒューマンドラマ。